代数幾何と学習理論
代数幾何と学習理論
渡辺 澄夫
「知能情報科学シリーズ」の2冊目です。以前ご紹介した、脳型情報処理 - 非ノイマン処理への道が、読み物的であったのに比べ、こちらは全般にわたり数式で構成されています。この本では、学習理論をそれ単独ではなく、
代数幾何(*1) ⇔ 特異点論 ⇔ 超関数論 ⇔ 経験過程 ⇔ 学習理論
という幅広い数学の分野のトピックと関連させて論じているのが特徴的です。ニューラルネットワークや隠れマルコフモデルやベイズ統計といった、「機械学習ではよく利用されているもののなぜうまくいくのか、あるいは、どれくらい良いのかがわかりにくいもの」について、その背景を眺めることができます。
読みこなすには(かなり基礎から説明があるとはいえ)大学初年度の数学を理解している or 大学初年度の教科書が手元にある必要があることと、ほとんどが純粋な数学の説明で、工学的な見地からの説明は最後の章のみ(さらに内容少な目)であるため、結論だけ知りたい人にはあまりお勧めできません。しかし、この分量でこの範囲の数学について解説している本は少ないと思います。学習理論関係の資料を読みこなすための数学力の準備として利用するのがよいかなと感じました。
(*1) 高校で習う代数・幾何とは違います。「代数幾何」は、本書の言葉を借りると、「多項式=0が作る図形を研究する学問」です。
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